研修

第2回 フジタの選び方~診療看護師編~

大野孝生 助手

「なんだかこのままでいいのかな…」

この記事は
・漠然とした不安を抱えている看護師
・今後のキャリアプランを考えている診療看護師
・ジェネラリスト、患者さんに包括的に関わりたい


そんな看護師、診療看護師の方に向けて書かれています。

みなさんこんにちは!藤田医科大学病院 救急総合内科です。
今回は「フジタの選び方」第2弾です!
当科では7名の診療看護師の方々と共に仕事をしておりその方々にお話を伺いました。

毎日の業務に懸命に励んでいるもののなんだか閉塞感を感じている。

「毎日楽しく仕事をしているけれどこのままでいいのかな?」
「更に自分を磨きたいな」

そんな悩みを抱えている看護師の方、診療看護師の方に向けて、

・なぜ診療看護師になろうと思ったか
・診療看護師の魅力
・救急総合内科でやっていることできること
・医師との関係性

について、3人の診療看護師の方にお話を伺いました。
皆様のお役に立つ情報であればと願っております。
それではどうぞ!

~廣末美幸先生の場合~

皆さん、はじめまして。
救急総合内科で勤務するFNP室(Fujita Nurse Practitioner)主任 廣末美幸です!
岡山県出身で、地元の脳外科メインの有床診療所で13年間勤め、診療看護師(Nurse Practitioner:NP)になるために藤田医科大学にやってきました。

「看護師さん…先生はまだ来ないの?」
地元の診療所では、常勤の脳外科医が2名いました。
しかし、1人が終日外来、もう1人が長時間の手術に入ると、病棟の患者さんの処置などは、どうしてもその後になってしまうという日々でした。
そのような環境で、忙しい医師に日々報告すべきことはたくさんありました。

「自分のアセスメントにもっとちゃんとした根拠を持ちたい」
どれが優先順位の高いことか、どうやって短時間で重要な情報を伝えるかを常に考える中で、そう思うようになりました。
また、ドレーンひとつ抜去してもらうのに、患者さんは朝から先生を待っていましたが、結局遅い時間になってしまうことは残念ながら多々ありました。
私は看護師として患者さんに謝ることしかできず、「もっと出来ることを増やして患者さんや一緒に働く人たちのお役に立ちたい」、と思いNPになろうと決めました。

藤田医科大学病院の大学院では、一流の先生方から指導を受けられます。
NPになるために必要なことの全てが藤田にはそろっています。
そして、恩師である渡邊孝先生のNP創設に対する情熱に触れ、ここで学ぼうと思いました。

藤田では、NPは3年目から診療科を固定して働くことになっています。
基本的にはずっと同じ診療科で専門性を高めていくことを想定しています。
そんな中、救急総合内科では、GIMチーム(一般入院病床)、ER、救急整形、災害外傷外科、救命ICUと多彩なフィールドが用意されており、自分に最適な働き方を模索していくことができます。
また、ワークライフバランスも大切にしています。
より良いパフォーマンスを発揮するには休息や家族との時間も必要です。
そして、皆が同じ認識をもっているので休みを取りにくいと感じたことはありません。

救急では重症外傷など大学病院の高度救命救急センターならではともいえるような最大瞬間風速がスゴイこともあります。
ERでは複数診療科と同時に連携を図り多職種のチームで命をつなぎます。
一方で内科としてまだ診断のついていない疾患を確定診断に導き、入院時から退院後の生活をも見据えた介入をしています。
そのような全人的な診療を行う先生方の姿勢を尊敬していますし、NPとしていっそうお役に立てるようこれからも精進していきたいと思っています。

救急総合内科および救急科の先生方は、NP一人ひとりの能力を見極め、少しずつステップアップできるようにあたたかく指導してくださいます。
また、力量に応じてチームの一員として責任のある仕事を任せてもらえるので、看護師の時とは一味違った達成感を感じられNPとしてのやりがいにつながっています。

NPは、看護の視点を持ち、その上で医学を学んでいます。
日々、医師と行動を共にして働き、その医師が何を考えているかを知っています。
また、看護師として患者さんの看護のために何が知りたいかを理解しています。
私は、あらゆるスタッフにとって、もちろん患者さんにとっても、気軽に話しかけることができて、かゆいところに手が届くような存在でありたいです。

~田元成仁先生の場合~

はじめまして。

藤田医科大学病院 救急総合内科のGIMチームで診療看護師(Nurse Practitioner)をしています田元成仁と申します。
私は看護師として循環器内科・心臓血管外科、救命センター、ICUといった部署を経て、大学院へ進学し診療看護師になりました。

<診療看護師を目指したきっかけ>
看護師:「先生、患者さんがこんな状況なんですが。」
医師:「ごめん、またすぐ電話するわ」
私が一年目で入職した循環器内科・心臓血管外科の病棟では、循環器内科医は外来やCAG対応などで病棟不在も度々ありました。
心臓血管外科も定期の手術に加え緊急手術もあり、医師が多忙で患者さんへの治療介入などは、その日の夕方以降などが多くありました。
また、自分自身の知識不足もあり、アセスメントが不十分なため、医師に正確な報告もできていないこともあり、もっと勉強したいと考えICUへ異動しました。

「この患者さん、発熱しているけど大丈夫かな?」
「ちょっとこっち手伝って!」
「今行きます…]
しかし、ICU異動後も自分のアセスメントに自信がなく、日々の業務に追われ、患者さんにとって最適なケアを提供できているのか疑問を持っていました。
そんな中診療看護師を知り、自分も診療看護師になりたいと考え大学院に進学を決意しました。

<診療看護師の魅力>
私は現在救急総合内科のGIM(general internal medicine)部門で診療看護師として働いています。
GIM部門は超高齢社会の日本では、複数の基礎疾患を抱え、複雑な病態や患者さんと家族の背景を把握し、目の前の患者さんに起きている全てを診る能力を養えるのが特徴です。
入院時より患者さんと関わり、退院まで関わることができることが、病棟看護師として働いていた時と違いやりがいを感じます。

また、GIMチームで対象とする患者様は高齢者が多く、認知症がある方も少なくありません。
病棟では認知症があるために予防的な身体抑制をよく見かけます。
しかし、実際には身体抑制は過剰で不要であることが多いといわれています。
そのため病棟看護師とも身体抑制の必要性について話し合い、少しでも身体抑制が減らせるよう取り組んでいます。
診療看護師:「この患者さん、もう治療も終わっていますし、抑制不要ですよね」
医師:「そうだね、外してもらうように看護師さんに依頼しよう」
先生にはない角度でせん妄予防に取り組み、先生も私達診療看護師の意見を聞いていただいています。
様々な角度からのせん妄予防によって、合併症を減らすことにつながっていると思います。

患者さん:「あんまり食欲がなくてね」
診療看護師:「入院前に好んで食べられていた食事はありますか?」
入院し治療介入を行っても、残念ながら最終的にはお看取りになることも少なからずあります。
そのような場合、ご家族とも話し合い、最後まで患者様が望まれたその人らしく過ごせるようなケアも病棟看護師と相談し、介入しています。
このような介入は看護師であった経験があったからこそだと思っています。
診療看護師は医学と看護学の双方の視点をもち、患者様に介入することが大切であると考えます。
このような患者様の倫理面なども病棟で看護師として働いていた頃は業務に忙殺され、なかなか目を向けることができませんでした。
診療看護師は特定行為などの処置に目がいきがちですが、倫理的な問題解決にも取り組んでいきたいと思います。

<藤田医科大学病院にした理由>
藤田医科大学病院の救急総合内科は専門医も多数在籍し、大学病院ならではの専門的な知見を身につけられます。
医師も診療看護師に対する教育も非常に熱心で、医療者として常に成長し続けることができる部門であると思います。
今はGIMチームの医師とチームで患者さんをみさせていただいており、自分がその日担当となった人に関しては、アセスメント、治療介入などを医師と相談しながら行っています。
はじめはわからないことだらけで、大変でしたが、医師が根気よく教えてくださり、現在は自分のできることも増え、楽しく仕事ができています。
救急総合内科は、ER部門、ICU部門、GIM部門、災害外傷外科と様々な分野で働くことができ、自分に最適な部門で働くことが可能です。
休日もしっかり確保することができ、有給取得も年間で10〜15日程度取得が可能です。
「働くときはしっかりと働き、休むときはしっかりと休む」
そういったことが可能なのが救急総合内科だと思います。
これは医師も同様に男性医師の育休取得率は83%で、有給取得日数も平均10日間で自分にあった働き方ができる科だと思います。
まだまだわからないことも多くありますが、今後も日々研鑽し、患者・ご家族に最適なケアが提供できるように努力し続けたいと思います。

~堀田智先生の場合~

妻と子供3人がいる、FNP4年目の堀田と申します。

看護師の時にはその都度、医療行為が必要な時に医師へ報告し、指示を受けてから必要な医療行為を行っていました。
「患者さんの微妙な変化は、患者さんと近い我々が一番はやく気付けるのに」
しかし患者さんの病態は刻々と変化しており、私自身に医師と同じ知識・技術があれば、もっと早い段階で医師に報告し、速やかに対応できると感じました。
患者さんに近い立ち位置で、医師と同じ目線で医療・診療の補助を提供できる診療看護師という職業を目指しました。

病院選びも迷いますよね。
もともといた病院で働くべきか、それとも新しい環境で働くべきか?
藤田医科大学病院は、診療看護師の導入が早かった大学の1つです。
診療看護師のパイオニアである藤田医科大学病院は、多くの先輩方がおみえで、その影響もあり、先生方の間にも診療看護師の存在はすでに広まっている状態でした。
医師からの理解があり、やれることも多い。
ロールモデルとなる診療看護師が身近にいる。
そんな環境でまずは働いてみたい、そう思い藤田医科大学病院で働くことを決意しました。

私の現在の仕事とは、というと。
入院時には救急外来で全身状態の評価を行い、早期に手術ができるかを判断します。
判断というのは、責任も伴いますが、看護師時代には出来なかった事の一つです。
もちろん、自分ひとりでは判断しませんが、自分でも考える過程があり、チームである医師とディスカッションできるというのは、この職種ならではだと思っています。
手技もできることが増えました。
今まではみることしか出来なかった腰椎麻酔の穿刺、術中は第一・第二助手を行なっています。
管理しか出来なかったドレーンが、今では抜去もできるようになりました。
このように、出来なかったことができるようになった。前進している感覚というのは、なんとも言えない感動を覚えます。

救急総合内科の先生方は多様な先生方で構成されており、バリバリ働かれている先生もいれば、家庭もあり、定時できっぱり帰られる先生もいます。
そういった多様性が許容される組織であり、自分が自分でいても良いというのが、ストレスが少なく働きやすい環境だと思います。
定時で帰るという文化が定着しており、家庭もある私としては大変ありがたい環境です。
もちろん、その分、時間内は医師、診療看護師、看護師で工夫しながら仕事の密度を上げています。少し大変なときもありますが、On-Offがしっかりしており、私の働き方にマッチしていると思っています。

このような恵まれた環境に感謝し、さらに成長していきたいと考えています。

シェアする